題名 ・・・・・ 『 小径 』
寸法 ・・・・・ 高さ145×幅90×奥行き150(Cm)
材質 ・・・・・ 黒御影石 伊達冠石
(制作年・・・・・ 2004.11)
作品制作の意図(思い)
『私はかつて、自分自身の精神的なコア
(中心・核)は 、一体どのようなものなのだろうと
一生懸命に考えていた時期がありました。
そういうモノ・コトを、私は
植物の果実と種子、あるいは細胞と核という
外側と内側を持つものに重ねあわせ、
人間とは異なる植物に、共感のような
気持ちを抱いて、愛着ある制作のモチーフ
としていました。
そんなことを頭で考えながら、
制作の時には、手でも考えながら、
人間の精神的なコアというものは
生きているものから命だけを取り出すことが
できないように
生きているものに、しっかりと宿って
息づいているものなのだ、と思うに
いたりました。
そして、そのことをありのままに感じて、
ごく自然に生きることをいとおしんでみたい
と思うようになりました。
私はこの作品で、一本の柱状の石を
楔(くさぴ)を用いて、二つに薄く、
割り開きました。
(石を割り開くという行為に
私は、閉じているものを開き、
そこに未知なるもの、答えを探しにいく
という、探求を重ねあわせていました。)
二つになった石で、一本の植物と
その茎を表現しています。
その間の空間、すきまを
その植物を支える、命の通り道と
イメージしました。
私はこの作品で、
鑑賞して下さる方の意識を
「かたち」の内側へ、内側へといざなうような
表現を試みたいと考えました。
そのすきまには、
肉体のサイズでは入れないけれど
見て下さる方の「意識」の上では、
入ってみてほしい、
この彫刻の中のすきま、空間が
見て下さる方々それぞれが
自分の生命を感じながら
逍遥するための『小径』(こみち)
となればと思い、制作いたしました。
この作品を見て下さる方が、
作品の『小径』を歩きながら
ご自身の心の奥深く、ピュアなところへ
立ち帰るような、自分自身との対話の時間を
味わって頂けたら
私はとても嬉しいと思います。』