A Seed of 彫刻工房 くさか


rogo1.jpg彫刻工房 くさか
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題名 ・・・・・ 『 A Seed 』


 寸法 ・・・・・ 高さ145×幅55×奥行き50(Cm)
 材質 ・・・・・ 黒御影石、鉄台座
 
 (制作年・・・・・ 2004.11)




 

 作品制作の意図(思い)

『私は、植物の種子というのは、
新しい生命が充填されたカプセルだと
感じてきました。


 そしてそれは、生まれるため
発芽する場所を探して時空間を旅する存在です。


 その種子の中に、芽生えるための光を与えるように
 光の差し込む空間を表現したいと考えました。

 
 同時に、台座も含めて
種子というものが、時空間を旅するという
 イメージを表現したいと考えました。




 彫刻というのは、文字通り、素材を
 彫り刻むことによって造形表現していく手法です。


 制作が進むにつれて、素材の石は
 量としては減量されていくのですが
 メッセージの込められた「かたち」としては
 存在する力、訴求力を強めて行きます。


 出来上がった作品からは、
 原石だったときの形状や面影を想像することはできないけれど
 作り手が素材に向き合った時間が、出来上がっていくかたちに
 何かしらの痕跡としてに蓄積されて
 それが作品の力になるのだろうとも感じています。




 私が制作の題材としている種子は、例えば
 約2000年前に土の中に埋もれた「大賀ハス」が
 現代になって発掘されて発芽するように
 長い時間を旅しているものです。


 そんな、長い旅の時間までも
 造形から感じ取っていただけるような
 表現を試みたいと考えました。


 光の射し込む、種子という一つのカプセルが
 見て下さる方の心の器、宿り場所になれたなら
 と思い制作しました。


 この作品を見て下さる方の心・意識が
 ほんのひと時でも、この作品の中にとどまって
 ご自身の長い旅としての「生」に思いをはせるような
 時間が提供できたなら
 私はとても嬉しく思います。」 
  


題名は「再生・復活」を意味しています。
 その言葉の通り、私は、再び新しく生まれるということをテーマに
 この作品を制作しました。 

  新しい命が、かたちの内側の空間から、外側の空間へと
 飛び出していくイメージを表現しています。

  
  その感動から、この作品以前にも「種子シリーズ」として、
 種子を題材に、すでにたくさんの作品を制作していました。

  それまでの作品では、見て下さる方の意識が、造形された種子の
 内側へ、内側へと導くような、求心的な表現を試みていました。

  この作品では、逆に種子の外側へ、生命のエネルギーを解放する
 ような、表現を試みたいと考えました。




  そのきっかけとなった、具体的な出来事があります。
 それはこの作品を制作した2008年の6月14に発生した、
 宮城・岩手内陸地震でした。

  この頃、私は仕事のご縁で、宮城県内最大の被災地である栗駒市に
 出向く機会があり、どこか遠くの出来事とは思えませんでした。
  地元の方々の実生活や精神面、様々な面での被害の大きさがとても
 心配になりました。

  その一方で、被災後ほどなく復興に向けて動き出した、人々の
 前向きな姿勢にも心打たれ、敬意を表したい気持ちになりました。

  この作品は私自身が、その復興を作品で応援したいという気持ちで
 制作したものなのです。



  地震では、栗駒山など、山の崩落や、山の中の水脈が変わるほどの
 大きな風景の変化がありました。
  それは、何名かの尊い命が奪われるほどの激甚災害でした。
 
  とてつもなく大きな被害から、復興を目指して立ち上がろうと努力
 する人々のエネルギーを、私なりのかたちに形象化したいと考えました。

  

   
  かたちのきっかけとしたのは、やはり種子ではありますが、円相の
 かたちにまで抽象化、単純化したことによって、もっと別のもの
 例えば、一つの星、世界などと受け取って頂いてもかまいません。

  すでに完結した世界を飛び出して、新しく外の空間を目指して解放
 されるエネルギーを、彫刻独自の「量感と空間」でおおらかに表現
 したいと考えました。
  
  この作品のサイズは、そう大きいとは言えません。
 けれども、私自身は、これは新しい世界に向かおう、力を発揮してい
 こうと願い、行動しているすべての人々に向けて、作品で応援をする
 モニュメント(記念碑)だと考えて制作いたしました。

  この作品を見て下さる方々には、地震という個別の事象にとらわれず
 それぞれの感覚で、見て頂いていいと考えています。

  この作品によって、新しいところへ向かう「元気」や「励まし」を
 みなさまの心に伝えることができたなら、とても嬉しく思います。』