地表ニテ of 彫刻工房 くさか


rogo1.jpg彫刻工房 くさか
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題名 ・・・・・ 『 地表ニテ 』


寸法 ・・・・・ 高さ120×幅100×奥行き80(Cm)
材質 ・・・・・ 黒御影石  伊達冠石

(制作年・・・・・ 2004.11)





作品制作の意図(思い)


『風がとても強い、冬のある日、
 私は公園を歩いていました。


 足元には、風に吹かれて、
 たくさんの木の葉や松ぼっくりが
 地面を舞い、転がっていました。


 その中に、バラの花そっくりの形をした
 松ぼっくりがありました。


 それは、まるでバラの花びらが、
 外側から一枚一枚、はがれ落ちていくのと同じように、
 風に吹かれて、その身をはがしながら転がっています。


 その美しい松ぼっくりを、
 私は、いくつか拾って帰りました。




 調べてみると、それはヒマラヤ杉の
「スギぼっくり」で、固い花弁状の重なりの間には
 琥珀色をした、薄い被膜状の種が一枚ずつ
はさまっているのがわかりました。


 私は、それが風に吹かれて、
 身を一枚一枚はがしながら、被膜状の種を飛ばすための
「かたち」をしているのだとさとりました。


 とても静かでいて、大きな感動を覚えた瞬間でした。




 私は、植物の種子というのは、
 これから芽生える「生命」が充填された
 カプセルだと感じています。


 種子は、自ら芽生えるために条件の整った
 ふさわしい場所を求めて、時空間を旅します。


 私は、人間とは違うこの種子に、何だかとても
 共感を覚え、心通わせてみたくなりました。




 人間にとって、身を切るような、寒く乾いた風も
 彼らにとっては、きっと遠くまで旅させてくれる
 追い風なのでしょう。


 「すぎぼっくり」から飛び出した種子が、
 この地表をどんな風に感じているのか・・・?


 この地表に生まれて来たことを
 悩んだり、落ち込みながら暗澹と生きるのか
 それとも、生まれたことを思いきり謳歌して
 旅して生きていくのか・・・?


 この地表で、一回きりの自分の寿命を
 どんな風に謳歌したいのか?
 私自身が自分に問いかけてみたくなり、
 この作品をつくりました。




 この作品を見て下さる方が、
 ご自身の現在や、未来に少しだけでも思いをはせる
 そんなひと時を、もって頂けたなら、
 私はとても嬉しく思います。』